国際協力師への道

国際協力機構JICAの平均年収は838万円(給与計算もできるよ!)

2021年1月21日

悩む人
政府系国際協力機関である国際協力機構(JICA)の年収を知りたいです。どのくらいもらえるのでしょうか。国際協力はやりたいことだけどやっぱりお金をどのくらいもらえるのか気になります。
公開されている情報を基に、一緒に計算してみましょう^^
みかむらシンジ

本記事の内容

  • ①国際協力機構(JICA)の年収モデルを公開情報から簡単検証!職員の平均年収は838万円。でもその計算方法は?
  • ②国際協力機構の在外職員の平均年収は1,347万円。
  • ③お金も大切、キャリアも大切

 

本記事の信頼性

記事を書いている私は、プロとして国際協力を仕事にして4年、アマ時代も含めると17年国際協力に携わっています。

 

読者さんへの前置きメッセージ

本記事では「面接とかで聞けない年収についてきちんと知りたい。この業界でちゃんとお給料もらえるのだろうか。。。」と悩まれている方に向けて書いています。

この記事を通して、国際協力のキャリアを形成するにあたって、「お金」という面で具体的なイメージ持てればと思います。

それでは、さっそく見ていきましょう。

 

国際協力機構(JICA)の年収モデルを公開!職員の平均年収は838万円!

結論として、国際協力機構(JICA)職員の年収は838万円です。

 

JICA職員の年収が838万円という根拠は?

実は、JICA職員の年収はきちんと公表されています。

独立行政法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準の公表というページで公表されています。

総務省のガイドラインに基づき独立行政法人は、職員の給与レベルについて公表することになっています。

それによると給与モデルは以下のとおりです。

4 モデル給与
(扶養親族がいない場合)

○22歳(本部大卒初任給) (注1,注2)
月額 212,827円 年間給与 3,203,259円

○35歳(本部主任調査役) (注1)
月額 410,183円 年間給与 6,885,099円

○50歳(本部次長)
月額 678,851円 年間給与 11,401,461円

注1: 扶養親族がいる場合は、非管理職(役職定年後の職員及び再任用職員を除く)に限り、扶養手当(配偶者6,500円、子1人につき10,000円)を支給

注2: 6月賞与に期間率が乗ぜられることを前提に試算

出典:JICA令和元年度

 

もう少し同じページから数字を見ていきましょう。

 

あくまで「平均」としての年収ですが、常勤職員の場合、平均年収838万円(内賞与231万円)、平均年齢45.1歳となります。

常勤職員とは、麹町の本部、国内拠点であるセンターで働いている職員のことです。

発展途上国への援助実施方針の作成、プロジェクトの企画立案、モニタリング、評価などを行います。有名なJICA海外協力隊(青年海外協力隊)も本部で対応しています。

 

具体的な計算方法は?

ではもっと深堀をして具体的な給与計算をやってみましょう!

 

実は、JICAは年収の細かな計算方法も公開しています。

独立行政法人国際協力機構職員給与規程 (jica.go.jp)

 

ここに総合職の計算方法まで記載があります。

 

「総合職35歳、指導職A1(管理職手前と仮定)、賃貸で東京住まい」を前提に計算してみると、結論として以下のとおりです。

基礎給177,140円+職能給197,700円+住居手当28,000円+特別都市手当22,490円=月給425,330円

 

以下分解してみていきましょう。

 

基礎給の俸給表(ほうきゅうひょうと読みます=給与テーブル)に号がありますが、これは年齢とイコールと推測できます。

実はJICAは初任給に関する規定「独立行政法人国際協力機構職員初任基本給・昇格及び昇給等に関する規程 (jica.go.jp)」を出しており、その高卒、大卒にあてられる号から推測すると、この号の数字は年齢と同じと推測できます。そのため、ここではこの号は年齢とイコールであると仮定します。

 

ここでは35歳なので、以下35号の177,140円を採用します。

出典:独立行政法人国際協力機構職員給与規程 (jica.go.jp)

 

職能給は、スキル、能力をベースに決定されますが、以下のとおり毎年の評価で上昇していきます。

(職能給の昇降給)
第12条 職能給は、職員の属する格における号俸の幅の中において、前年度の当該職員の勤務評価に基づき別表第3又は別表第3の2に定める号俸数について昇降給させることができる。ただし、人事部長が別に定める場合を除く。

 

だいたい35歳となると、一般的企業では課長補佐、ヒラ社員の上位までになると仮定します。

以下規定から推測すると、基幹職に昇格=管理職と読めますので、基幹職の手前、指導職Aがヒラ社員の最上位であえると推測できます。

(昇格)
第6条 職員が、人事部長が別に定める昇格基準を満たした場合で、その者の勤務成績が特に良好である場合には、昇格させることができる。このうち、総合職職員を基幹職に昇格させる場合又は特定職職員を特定基幹職に昇格させる場合は、管理職登用試験を実施し、優秀な成績を収めた職員について昇格させることができる。ただし、その者の担当する職務の重要性及び責任度にかんがみて、理事長が特に必要と認める場合には、本条の規定にかかわらず昇格させることができる。

 

そのため、35歳でヒラ社員の最上位と仮定し、ここでは指導職A1、この197,700円を採用してます。

出典:独立行政法人国際協力機構職員給与規程 (jica.go.jp)

 

住居手当は、ここですね。

(住居手当)

第13条 月額27,000円を超える家賃を支払っている職員 家賃の月額から27,000円を控除した額の2分の1(その控除した額の2分の1が、17,000円を超えるときは、17,000円)を11,000円に加算した額

出典:独立行政法人国際協力機構職員給与規程 (jica.go.jp)

分かりにくいのですが、計算すると結局は、月28,000円になります。

 

特別都市手当はここです。

(特別都市手当)

第12条

2 特別都市手当の月額は基本給及び扶養手当の月額の合計額に別表第7に掲げる地域に応じて、それぞれ同表右欄に掲げる支給割合を乗じて得た額とする。

出典:独立行政法人国際協力機構職員給与規程 (jica.go.jp)

 

前提のとおり、独身のため扶養手当はなし。

そのため、特別都市手当は、基本給374,840円(基礎給177,140円+職能給197,700円)×0.06=22,490円となります。

 

ここに賞与がプラスされる感じですね。

賞与の計算は以下のとおりです。

第24条

2 賞与の額は、次の各号に掲げる額の合計額とする。

(1) それぞれの基準日現在(退職し、又は死亡した職員にあっては、退職し、又は死亡した日現在。以下この項において同じ。)において職員が受けるべき基本給の月額に人事部長が別に定める固定賞与支給割合を乗じて得た額及びその額に別表第8に定める等級加算割合(経営職、執行職、基幹職、特定執行職及び特定基幹職の職員にあっては、同表に定める役割加算割合。以下同じ。)を乗じて得た額及び扶養手当の月額並びにこれらに対する特別都市手当の月額の合計額を基礎として国家公務員の例に準じて人事部長が別に定める基準により計算した額に、基準日以前6箇月以内の期間におけるその者の在職期間に応じて、人事部長が別に定める割合(以下「在職期間率」という。)及び人事部長が別に定めるファンド調整係数を乗じて得た額

出典:独立行政法人国際協力機構職員給与規程 (jica.go.jp)

ちんぷんかんぷんですよね。賞与は個人の評価(その年掲げた目標に対してどれだけ達成できたか)で変わるとのことです。

 

ただ、基準となる「月数」は、以下記載から察するに、国家公務員の月数が採用されることが多いと推測されます。

出典:JICA 役員の報酬等及び職員の給与の水準の公表令和元年度(令和2年6月公表)

 

去年2019年度の人事院勧告は、4.50か月でした。上記のJICAの実績の数字も4.50か月(6月2.225か月+12月2.275か月)です。

簡単に言うと、基本給×4.50か月が賞与になります。

この場合、374,840円×4.50か月=1,686,780円ですね。

 

月給425,330円×12か月+1,686,780円=年収6,790,740円ですね。

 

結論として、総合職35歳、指導職A1(管理職手前と仮定)、賃貸で東京住まい、の人の想定年収は、6,790,740円!

 

ここに残業代がつく、ことになります。だいたい残業20時間くらいなら月5~6万円くらいでしょうか。そうすると、プラス60万円となります。

 

この計算はあくまで一例ですが、みなさん、日ごろもらえる給与、イメージつかめましたでしょうか?

 

②国際協力機構の在外職員の平均年収は1,347万円

結論として、JICAの在外職員の年収は1,347万円です。

 

JICA在外職員の平均年収は1,347万円の根拠は?

在外職員とは、海外にある約90か所の拠点に勤務し、開発途上国政府や他の援助機関との対話、、現地調査を通じて現状を把握し、ニーズに応えるプロジェクトを形成します。また専門家・コンサルタント・ボランティアなど現場の活動をサポートし、開発途上国側の関係者との調整を行いながら事業のプロセス管理をするのが仕事です。

在外職員の給与も公表されています。JICA 役員の報酬等及び職員の給与の水準の公表令和元年度(令和2年6月公表)

ここで記載されているのは、あくまで「平均」としての年収ですが、在外職員の場合、平均年収1,347万円(内賞与163万円)、平均年齢43.0歳となります。

 

もう少し細かい計算を見ていきましょう。

JICAは年収の細かな在外職員の給与計算方法も公開しています。

独立行政法人国際協力機構在外職員等給与規程 (jica.go.jp)

 

ここでも先の「総合職35歳、指導職A1(管理職手前と仮定)、賃貸で東京住まい」の方に登場してもらいましょう。

この人が中国事務所に赴任したらどうなるのか?で年収を計算してみましょう!

 

まず国内でもらう給与と、在外でもらう給与が分かれています。

 

まず国内でもらう給与。

指導職又は業務職 職員給与規程に規定する基本給に100分の80を乗じて得た額

出典:独立行政法人国際協力機構在外職員等給与規程 (jica.go.jp)の第3条

基本給(基礎給+職能給)の80%なので、

基本給374,840円(基礎給177,140円+職能給197,700円)×80%=月299,872円です。

賞与もあります。

299,872円×4.50か月=1,349,424円となります。

 

ですので、国内でもらう給与を合計すると、以下のとおりです。

 

月給299,872円×12か月+賞与1,349,424円=年収4,947,888円

 

次に、在外でもらう給与は、在勤基本手当と呼ばれています。

第5条 在勤基本手当の月額は、別表第1に掲げるところに従い、所在地欄に掲げる都市及び号別によって定める。

出典:独立行政法人国際協力機構在外職員等給与規程 (jica.go.jp)

 

海外でのどの職位の人がどの号に当たるのか、は対外的に公表されていないようです。

ここでは、エイヤで、で計算してみましょう。

仮に中国(北京)事務所に駐在し、号を2号と仮定した場合、月480,600円となります。

 

年間だと、月480,600円×12か月=年収5,767,200円

 

ほかにも、配偶者手当、子女教育手当などありますが、独身の場合を想定してますので、ここでは割愛しますね。

「総合職35歳、指導職A1(管理職手前と仮定)、賃貸で東京住まい」が中国赴任になると、年収は以下のとおりです。

 

国内給年収,947,888円+海外給年収5,767,200円合計年収10,715,088円

 

となります!

 

この計算はあくまで、一例ですが、海外駐在になった場合の年収について、きちんとイメージできましたでしょうか?

 

③お金も大切、キャリアも大切

参考としてですが、実際に公開されている情報をもとに、年収計算をしましたが、きちんとみなさんイメージできましたでしょうか。

「よし、じゃあJICA入ろう」と思ったそこのあなたは素晴らしいです。

しかし、ここで大切なことは、その組織に所属ことがゴールではないということです。

あくまで国際協力で重要なのは必要な支援を必要なひとに届けること。そのためには、専門知識、多様なスキルや知見を持った人材が必要です。「国際協力」はある種、器のような存在で、多くの専門知識を持ったプロ集団で成り立っています。就職すれば安泰というわけでない、と理解していただけると思います。

私の周りで国際協力にかかる人は、仕事をしながら資格を取ったり、大学院へ通ったり等、専門性を高めるために努力している方がたくさんいます。また、その資格や大学院の学びを仕事でも生かし、さらに専門性を高める、といった主体的にキャリアを形成しています。日々の仕事プラスαの姿勢が求められます。

 

こちらで英語力の伸ばすためのオンライン英会話の始め方を解説してますので、よろしければどうぞ。

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こちらで国際協力業界のキャリアについて解説していますので、よろしければどうぞ。

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就「社」ではない、まさに就「職」という視点が、特にこの国際協力の分野では必要になります。その視点でご自分の興味のある分野に飛び込んでいただければと思います。

 

まとめ:あくまで一例として、年収レベルを知ろう

記事のポイントをまとめます。

  • 国際協力機構(JICA)職員の平均年収は838万円。
  • 給与規定は公開されているので、自分で計算することもできます!
  • 国際協力機構の在外職員の平均年収は1,347万円。
  • 海外は年収も高いが責任も重い。
  • お金も大切、キャリアも大切。あくまで就「社」でなく就「職」という意識で。

このようなイメージでしょうか。結論として、年収レベルも大切、でもキャリアも大切、ということですね。

国際協力をしながら、お金ももらえる、個人的には非常に幸せなことだと思っています。ご興味あればぜひこの世界に飛び込んでみて下さい。私も引き続き、この業界でお金をもらいながら、しっかりプロとして仕事をしていきます!

 

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