バングラデシュはこの10年、年間約6%程度の経済成長を続けており、かつての「最貧国」というイメージはもうありません。
すでにLDCs卒業条件を満たしている
ここでご紹介した後発開発途上国(LDCs:Least Developed Countries)についても、すでに卒業条件を満たしているようです。
発展途上国の定義とは?➾OECDの「ODA受取国リスト」でわかる!
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LDCsの卒業に関して、こちらの記事で説明されています。
Bangladesh’s LDC Graduation | The Daily Star
www.thedailystar.net
記事について無理やりまとめると、以下のとおりです。
- 2018年時点でバングラデシュは、既に今後6年間でLDCsカテゴリーを卒業するための3つの基準すべてを満たしていた。
- 今後6年の間に、2回の国連委員会でのレビューによって卒業が決定する。つまり最短で2024年にLDCsを卒業する予定。
- コロナ禍においても、LDCs卒業のための3つの要件、1人あたりの国民総所得(GNI)、人的資産指数(HAI)が大幅に増加。3つ目の基準、経済・環境脆弱性指数(EVI)も好調なままである。
国内格差はまだまだあるかもしれませんが、バングラデシュに「世界最貧国」「アジア最貧国」の姿はもうありません。
今は国を挙げて大きな橋、道路、鉄道など、大きなインフラ開発が全国で展開されていて、アジアでも有数の成長国になっています。
国が発展するのは喜ばしいことです。
LDCs卒業でおきる不都合なこと
一方でLDCsを卒業すると、国全体にとっては不都合なことが起きてきます。
LDCsだからこそ受けられていた恩恵が受けられなくなる可能性があります。
一つ目は、低金利の融資が受けられなくること。
インフラ開発をする際に、国際機関や先進国のドナーから、何千億円の資金が必要です。
それをLDCsということで低金利で借りることができるのです。
LDCsを卒業すると、金利が上がり、国の財政を圧迫します。
二つ目は、輸出の非関税枠が撤廃されることによる国際競争力の低下です。
バングラデシュは中国に次ぐ衣類製品輸出量世界2位です。
欧米各国は、LDCsの国々の経済成長の支援のために、非課税枠を持っています。つもりLDCsの国々は安く先進国の市場へモノを売れるということ。
しかしLDCsを卒業するとその恩恵が受けられなくなる可能性があります。
調査によると、LDCs卒業に伴う非課税枠の撤廃による輸出損失は、2017-18会計年度の総輸出の約5%であると推定されています。
これは27年度に70億ドルの損失に相当し、31年度までに着実に130億ドルに増加する見込みです。大きな金額です。
三つ目は、外国からの助成金の喪失です。
実際バングラデシュの助成金への依存度は、過去数十年で大幅に低下しました。
近年、公的部門が受け取る助成金は、GDPの約0.1%、つまり年間3億ドル未満と推定されています。
現在、国際収支で報告されている民間送金のデータに基づくと、金額は最大4億ドルになる可能性があります。
バングラデシュがLDCグループを卒業し、公的および民間の助成金約7億ドルが消失する可能性があるとのことです。
成長というのも一筋縄ではいかないということでしょうか。
今後もバングラデシュの成長を要チェックです!