みなさまこんにちは。先日休暇で行っていたモルディブから帰ってきました。当初インドに行こうと思っていたのですが、バングラデシュでインド観光ビザを取ろうと思うと計3週間ほどかかることが判明したため、インドは次回としました。そこで今バングラデシュは寒いので、暖かいモルディブに行ってきたというわけです。この2年で南アジアを制覇したいと思っていて今回はその第一弾となりました。
そこで勉強も兼ねて、おそらくまだ誰も書いたことがないテーマ「バングラデシュとモルディブ」の関係について書いてみようと思います。両国を比較すると非常に似たところがいくつか出てきます。キーワードは「地球温暖化」「出稼ぎ労働者」。日本との関係にも注目です。
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1.バングラデシュとモルディブの概要
まず両国の概要を列挙。
1)バングラデシュ概要
国名:バングラデシュ人民共和国
面積:日本の約4割
人口:1億5千万人
人口:1,126人/km2 ※日本336人/km2
民族:大部分がベンガル人、1%ほどその他少数民族
国語:ベンガル語
主な宗教:イスラム教スンニ派
外交:非同盟中立。インド重視、その他イスラム諸国、援助国(日本)とも友好関係維持。SAARC(南アジア地域協力連合)加盟。
主産業:縫製産業
総GDP:894億ドル(2009年)
一人当たりGDP:684ドル(2009年)
輸出:157億ドル(衣料品38%、ニットウェア41%、魚介類3%、その他ジュート・革製品)
輸入:225億ドル(繊維10%、石油製品10%、鉄鋼製品8%、機械機器7%、綿花6%、肥料5%、穀物類4%、食用油4%、その他)
対日輸出:2億ドル(履物24%、衣類23%、冷凍えび10%、一般機械10%、繊維製品8%、その他)
対日輸入:10億ドル(自動車25%、鉄鋼18%、繊維機械17%、バストラック9%、電気機器9%、その他)
日本のODA額:有償資金協力388億円(2009年)、無償資金協力28億円(2009年)、技術協力25億円(2008年)
地理的特徴:ガンジス川のデルタ地帯のため、標高が低い。一部ミャンマーと接する以外、四方をインドに囲まれる。
2)モルディブ概要
国名:モルディブ共和国
面積:淡路島の約半分
人口:31万人
人口密度:1,030人/km2 ※日本336人/km2
民族:モルディブ人
国語:ディヴェヒ語
主な宗教:イスラム教スンニ派
外交:非同盟中立。インド重視、その他イスラム諸国、援助国(日本)とも友好関係維持。SAARC加盟。
主産業:漁業及び観光
総GDP:13億ドル(2009年)
一人当たりGDP:4,700ドル(2009年)
輸出:0.8億ドル(生鮮魚類76%、魚介類調製品11%、塩蔵魚類9%、その他)
輸入:9.8億ドル(石油製品16%、一般機械11%、電気機械11%、野菜と果実5%、鉄鋼4%、その他)
対日輸出:1.5億円(生鮮きはだまぐろ37%、かつお節31%、生鮮めばちまぐろ19%、冷凍かつお6%、観賞用魚1%、その他)
対日輸入:5.9億円(一般機械44%、船舶18%、電気機器11%、バストラック7%、自動車6%、その他)
日本のODA額:有償資金協力27億円(2006年)、無償資金協力13億円(2009年)、技術協力58億円(2008円)
地理的特徴:26の環礁を形成する1,192の島々からなる。海抜が低く1m海面が上昇すると国土の80が消失。
※ドルと円の単位が混在しておりますが、外務省数字をそのまま使用しております。
2.両国の共通項と課題
1)共通項
①イスラム教主体の国家
両国ともにイスラム教主体の国家。その他歴史的にも仏教が栄えた後、イスラム王朝の統治によりイスラム教への改宗が進んだ点も同じ。
②海抜低により地球温暖化の影響大
両国ともに海抜が低い。バングラデシュはガンジス川のデルタ地帯。モルディブは環礁の島国。両国ともに海面上昇は国家の根幹を揺るがす。
③人口密度高による地価高騰
両国ともに人口密度高による近年の地価高騰が課題。ダッカはこの10年で地価が2~4倍に上昇。モルディブの現地新聞によると首都マーレも、現在家を購入するには平均年収の12倍以上でないと購入できないとのこと。
④SAARC加盟
両国ともに1985年発足 南アジア地域協力連合(SAARC)加盟。その他加盟国はインド、パキスタン、スリランカ、ネパール、ブータン、アフガニスタン。南アジア内で人材、経済交流を促し、地域発展を進めるのが目的。
⑤外交姿勢
両国ともに非同盟中立。隣国で大国および重要な貿易相手国であるインド重視。その他イスラム諸国、援助国(日本)と友好関係維持。
2)両国間の課題
①地球温暖化防止に向け連携
両国ともに海抜が低く、地球温暖化による海面上昇の影響を受けやすい地形。1m上昇するだけで国土の大部分を失ってしまう可能性が高い。両国ともに国際舞台で地球温暖化防止について積極的に発言している。2010年2月モルディブ外相がバングラデシュ訪問時、また2010年5月モルディブ大統領がバングラデシュ訪問時、それぞれハシナ首相と会談。両国で連携し積極的に国際社会に働きかけることを確認している。
②出稼ぎ労働者への対応
バングラデシュの新聞報道によると、現在バングラデシュの出稼ぎ労働者が30,000~50,000人モルディブにいるとされている。ホテル、レストラン、また建設現場等で安い労働力として働いている。また割合は不明だが多くが観光ビザで入国後仕事をしている不法労働者であるという。不法労働者であるが故に、きちんと給料がもらえなかったり差別的扱いを受けたりしているバングラデシュ人が多いことが問題となっている。2009年10月にバングラデシュの海外雇用福祉省大臣がモルディブを訪問し、モルディブ大統領と会談した際、この点が話し合われた。両国首脳が会談する際は、この話題に触れられることが多いようす。基本的に良好な関係を築いている両国だが、今後この問題が両国の関係悪化の要因になる可能性ありか。
参考資料:外務省ホームページ、二宮書店出版「データブック2010」、バングラデシュ新聞社「The Daily Star」、モルディブ新聞社「MIADHU」。
写真①:首都マーレで見つけたベンガル語の広告。自国へたった3ドルでお金を送ることが出来るという内容。街を歩いていても至る所でベンガル語が聞こえてきた。
写真②:透明度の高い海。
写真③:その海に飛び込む私。
写真④:ここにも日本のODA。
写真⑤:首都マーレの市場。新鮮なかつお、マグロが並ぶ。
写真⑥:このゴミを一体どう処理してるのだろう。
写真⑦:アラビア語の影響を受けたといわれるディヴェヒ語。アラビア語より可愛らしい。
写真⑧:薄っすらと環礁が見える。
写真①写真②写真③写真④写真⑤写真⑥写真⑦写真⑧
バングラデシュとモルディブと、時々ニッポン
2011年1月17日