途上国滞在記

ここはバングラデシュか、はたまた異国か

2010年11月29日

みなさまこんにちは。今日は少し買い物中に感じたことを書きます。
大学の授業の中であるテーマで劇を演じる課題が出たため、その衣装を買いに同級生とお店を回りました。私たちが考えた演劇では西洋の女性向けの衣服が必要だったため、高級アパレルショップが並ぶ「グルシャン・アベニュー」を散策。数件をめぐりお目当ての衣類をゲットすることが出来ました。
数店回った中で私たちが購入したのは、長めのスカート、シャツの2点。合計1,200tk(≒1,560円)。この国の最低賃金が3,000円弱のため、結構な買い物だと私は感じました。「結構これ高いよね。かなり上流階級向けのお店なんだね」と私が同級生に言うと、彼はすぐに「そんなことはないよ。このお店は中流階級向け。高いお店は向こうにあるから行ってみようか?」との返事。彼と一緒に本当の高級店へ向かいました。
中に入ると清潔な雰囲気で、高そうな服がきちんと並べられていました。並んでいるワイシャツを手に取り値段を確認してびっくり。なんと一着2,500tk(≒3,250円)! スーツは一着30,000tk(≒39,000円)! 日本と変わらない値段がしました。私の同級生もよくこのお店で購入するのだとか。この国の最低賃金を上回る一着2,500tkのワイシャツを手に取りながら、先日マイメンシンで知り合った方に言われたことを私は思い出していました。
「あなたはどのようなレベルの人のために働きたいと思っているのか。お金持ちがさらに富むためか、それとも普通の人が富むためか、はたまた貧困にあえぐ人の生活を助けるためか」
この国ははっきりとした学歴社会で、私の同級生たちはすでに30代前後でありながら肩書きは「部長」「取締役」「社長」等がぞろぞろ。相当いいお給料を稼ぎ良い暮らしをしています。私は彼らを否定するつもりはありません。彼らは優秀でそれだけの努力をしてきたと思います。彼らのようなお金と頭脳を持った人が、この国の経済を動かしているのは事実です。私はそんな大学の友人たちを尊敬しています。ただ一回の買い物で最低賃金の数倍のお金を簡単に使ってしまう彼らの感覚が、時に怖く恐ろしく感じることがあります。本当に彼らが貧しい人の生活、田舎の村の生活を知っているのか、それは大きな疑問です。
誰しもが意識は上に上に。最下層にいる方のことを本当に考えている上流階級の方はいるのか。富める者はさらに富み、貧しい者は貧しいままなのか。
大学時代バングラデシュの田舎でお仕事をした時の感覚と、現在ダッカで生活しているこの都会の感覚とのギャップ。どちらもこの国の現実。どちらも本当のバングラデシュ。しかし私はその狭間で時折何が真実なのか分からない、そんな感覚に襲われる時があります。今日はこの辺で。それではまた。
写真①:きちんと並べられた高級スーツ。
写真②:高級店の店内。ここは本当にバングラデシュか、それとも異国か。
写真①Image0157_R.jpg写真②Image0159_R.jpg

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