みなさまこんにちは。大学がイスラム教のお祭りイード(犠牲祭)休みに入ることから、息抜きも兼ねて海外へ行っておりました。その道中で印象深いことがありましたので書きます。
ダッカ空港から飛行機で出国だったのですが、私の隣に座った方(バングラデシュ人)がとても印象的で心に残っております。彼は離陸ぎりぎりに搭乗して、私の隣に座ってからもずっと携帯電話で話をしていました。話の内容から、彼はマレーシアへ出稼ぎに行くんだと推測出来ました。そして奥さんと話をしているということも。「ちゃんとあれをやるんだぞ」「僕も頑張るから」。奥さんと話をしながら最後はハンカチで涙を拭きながら離陸ぎりぎりまで携帯で話をしていました。キャビンアテンダントから携帯を注意され申し訳なさそうに電話を切った後、彼は離陸までの間窓の外を眺めずっと涙を拭いていました。そんな彼のやり取りを見ていた私の胸は何とも言えない気持ちでいっぱいになってしまいました。
私が飛行機に乗ったのは15日深夜。今回のイードは17日なので、彼は家族と一緒にイードを祝うことができなかったということです。おそらく仕事の都合上仕方なかったのでしょう。家族との関係を何よりも大切にするこのバングラデシュで、イスラム教徒にとって大事な行事であるイードを家族と一緒に祝えない彼の気持ちを思うと、私の胸に悲しい気持ちがこみ上げてきました。奥さんや子供と一緒にイードお祝いしたかったろうな、家族でおいしいご飯食べたかったろうな、と。最近年を重ねたせいか涙もろくなってしまいました。
7年前バングラデシュに住んだときはこんなことはありませんでした。当時は確かに私はこの国で生活をしておりましたが、あまりに日本と異なる文化の中で逆にリアリティがありませんでした。なぜか当時は、このバングラデシュの空間と日本の空間は切り離されているようなそんなイメージがありました。目の前にいる人の人格、人柄、その人の日々の生活を感じることができませんでした。
しかし最近それが少しずつですが変わってきたように感じます。このバングラデシュが日本の水平線上に同じ時間、同じ空間上に存在している、そんな当たり前のことが段々と認識できるようになってきました。目の前の人は今の顔だけではなく、仕事の顔、家では親の顔があり、この国できちんと生活しているんだと。
その国の文化、生活を理解するというのはなんと奥深いものか、そんなことを実感する毎日です。今日はこの辺で。それではまた。
写真:香港の夜景
飛行機の中での出来事
2010年11月20日