みなさまこんにちは。ここ数日与党と野党間の政治情勢が緊迫しております。野党側は14日終日ホルタル(ゼネスト)を実施することを発表しました。少しその背景について書こうと思います。
現在バングラデシュは小政党もありますが、1971年独立後2大政党制が続いています。現在与党のAL(アワミ連盟・Awami League)、野党のBNP(バングラデシュ民族主義党・Bangladesh Nationalist Party)。議会は一院制。300議席で任期は5年。政党の軌跡を書くと膨大な時間がかかってしまいますので、ここでは割愛しますが、基本的には5年毎の総選挙の度に与党と野党が入れ替わるため、政治的に安定してるとはいい難い状態が続いています。
バングラデシュの政治の世界では、2人の女性が表舞台で活躍しています。AL党首(現首相)シャイク・ハシナ。BNP党首カレダ・ジア。それぞれ亡き父や夫の威光を背景にしていますが、その振る舞いは威風堂々。バングラデシュの政治はこの二人を中心に回っています。
さて今回のホルタル(ゼネスト)はまさにこの野党BNPカレダ・ジア党首に関係したもの。2008年12月に行われた総選挙でALが300議席中230議席を獲得し圧勝したこともあり、ALはBNPに対して嫌がらせとも取れるような対応をいくつかしています。その一つが今回のBNPカレダ・ジア党首への自宅退去要請。現在カレダ・ジア党首はカントンメントと呼ばれる軍駐屯地内に自宅を構えています。ALはこの自宅は違法な手続きで得た土地であり、彼女はこの土地から退去し土地を政府に返すべきであると主張しています。この政府側の主張が高裁で認められ30日以内(11月12日まで)に立ち退きを認める判決を出しました。もちろんこれにBNP側は反発し最高裁に上告。しかし今般13日早朝軍がカレダ・ジア宅を包囲。強制退去をさせる動きを見せておりました。結局13日午後カレダ・ジア党首は自宅を退去。BNP側は強制的に退去させられたと主張。軍側はあくまでカレダ・ジア党首の「自主的な」明け渡しだったと主張しています。しかしBNP側としては最高裁の判断がまだ出ていないのに自宅を明け渡す必要は無いわけで、政府側が強制的に退去させたという見方が有力。政府が最高裁の判断を待たずに実力行使に出たのは、最高裁に与党寄りの判事が多いため、後でどうにでもなるという政治的判断があったのでしょうか。当然BNP側は抗議、今後法的手段に出る可能性があります。
おめでたいイード(犠牲祭)休み前の事件。野党BNPはこの強制退去の動きに抗議するため、14日終日ホルタル(ゼネスト)を実施することを決定しました。ホルタル中はバス等交通機関はストップし、デモ隊と警察との衝突、路上の車を燃やす等色々物騒なことが起きます。国民の大半はホルタルは意味がないと思っていますが、野党が決定すればどうしようもありません。流通もストップするので経済的損失も大きくなります。また今回は休み前ということで帰省客の足を直撃。良い事は一つもないこのホルタル。汚職のない国民目線の政治はいつやってくるのか。今日はこの辺で。それではまた。
写真:ホルタル(ゼネスト)の影響で車がほとんど無い道路。最近は規制がゆるくなっていてリキシャはOKとのこと。
バングラデシュの政治情勢が緊迫化
2010年11月14日