途上国滞在記

(隙間を狙う?)中国政府がバングラデシュにワクチン50万回分を寄付

中国政府は5月12日、新型コロナウイルスワクチン50万回分をバングラデシュに寄付したとのことです。

今日もバングラデシュの最新ニュース見ていきましょう!

 

中国政府がバングラデシュへワクチン50万回分寄付

中国政府は5月12日、新型コロナウイルスワクチン50万回分をバングラデシュに寄付したとのことです。

CHECK
https://www.dhakatribune.com/bangladesh/2021/05/12/500k-doses-sinopharm-vaccine-reaches-dhaka
https://www.dhakatribune.com/bangladesh/2021/05/12/500k-doses-sinopharm-vaccine-reaches-dhaka

www.dhakatribune.com

 

この記事をむりやりまとめると以下のとおりです。

①中国政府は5月12日、中国製新型コロナウイルスワクチン(シノファーム)50万回分をバングラデシュに寄付した。

②バングラデシュ政府は中国の支援に感謝の意を表した。

一方、ザヒド・マレク保健相は、シノファームはバングラデシュで4000万から5000万回接種の需要があり、購入に対して興味がある旨レターを中国政府へ送付した。

50万回分のワクチンの贈呈式の様子。出典:Half a million doses of Sinopharm vaccine reach Dhaka | Dhaka Tribune

 

中国が自国ワクチンである「シノファーム」をバングラデシュ政府に送ったわけですね。

バングラデシュ政府としては、ワクチンは多いほどいいと思いますが、なぜ今このタイミングだったのでしょうか。

 

なぜ中国が?インドからのアストラゼネカ社ワクチンはどうなった?

その理由は、こちらの記事で読み取ることができます。

CHECK
https://www.dhakatribune.com/bangladesh/2021/05/11/bangladesh-writes-to-china-to-buy-40-50-million-doses-of-covid-vaccine
https://www.dhakatribune.com/bangladesh/2021/05/11/bangladesh-writes-to-china-to-buy-40-50-million-doses-of-covid-vaccine

www.dhakatribune.com

 

この記事をむりやりまとめると以下のとおりです。

①バングラデシュ政府は中国政府に対して、新型コロナワクチン「シノファーム」が4000万から5000万回の接種が必要であることを通知し、今年中にその数量の提供を要請した。

②4月29日、薬物管理総局(DGDA)は、シノファームをバングラデシュ国内で緊急使用するための3番目の新型コロナワクチンとして承認した。

薬物管理総局(DGDA)理事会はまた、4月27日にロシア製の新型コロナワクチン、「スプートニクV」を2番目のそのようなワクチンとして承認した。

④保健相は、バングラデシュ政府がこのワクチン危機を解決するために中国とロシアに支援要請をしたと述べた。 また、それに加えて、バングラデシュ政府は、米国にも2000万回分のワクチンを提供するよう要請した。

インド政府は、約束したアストラゼネカ社のワクチンの用量を提供することができなかった。2回の接種ができるかどうか問題が生じている。

 

これまで、今年2月~3月にインド政府が実施してきた「ワクチン外交」。

バングラデシュもインドからインド産の英社アストラゼネカのワクチンを提供受ける約束をしていました。

ただ、この3月末からのインドの感染爆発で、そのアストラゼネカのワクチン供給が止まってしまったようです。

バングラデシュ政府はインドから3000万回分のワクチンを購入することになっていました。

しかし、インドが輸出を停止するまでに届いたのは購入した700万回分と、寄付された330万回分のみです。

バングラデシュの総人口は1億6千万と言われているので、一人2回接種を考えると、まだまだ少ないですね。。。

 

このようにインド製のアストラゼネカ社ワクチンで、国内ワクチン接種を進めようと思っていたバングラデシュ政府は出鼻をくじかれた形になったのです。

その隙間を埋めるように提供された中国製ワクチン「シノファーム」。まさに絶妙なタイミングと言えるでしょう。

 

バングラデシュ政府はこのほかにも、ロシア製の新型コロナワクチン「スプートニクV」の輸入について、ロシアと交渉中だと明らかにしています。

バングラデシュのモメン外相は、「中国は近年、バングラデシュの偉大な友人になった。両国関係はさらに良くなるだろう」と述べています。

 

バングラデシュも隣インドの状況を横目に見ながら、少しでも早く、少しでも多くワクチンが欲しいところ。バングラデシュと関係を深めたい中国との利害が見事に一致した形ですね。

 

中国とバングラデシュの援助実績は?

改めて中国とバングラデシュ経済協力体制を整理してみたいと思います。

こちらに最近の中国とバングラデシュの経済協力についてまとまったコラムがあります。

CHECK
When it comes to economic and technological cooperation, China and Bangladesh have infinite potential - Global Times
When it comes to economic and technological cooperation, China and Bangladesh have infinite potential - Global Times

www.globaltimes.cn

 

こちらを読むと、中国とバングラデシュの経済協力関係は継続的に深まっていることがわかります。

まず、大規模な鉄道プロジェクトが進んでいます。

中国政府の優遇融資によってバングラデシュ最大規模のプロジェクトである「パドマ橋レールリンクプロジェクト」は、31.4億ドルの費用が投入されています。

このプロジェクトの長さは169キロメートル

2018年7月3日に建設を開始して以来、5,000以上の直接雇用と数万の間接雇用を地元住民にもたらし、100を超える地元企業に下請け事業をもたらしたとのこと。

 

他にも多くの中国プロジェクトがあります。

さらに、中国はバングラデシュで、「パドマ橋」「バングラデシュ国際会議センター」「石炭火力発電所」「National Data Center」など、他のいくつかの大規模プロジェクトに着手しています。

この二国間投資協力の発展上の利点に基づいて、中国とバングラデシュの間の将来の協力の範囲は非常に広い可能性があるようだとのこと。

バングラデシュの継続的な経済的および社会的発展により、中国とバングラデシュは、5G、高速鉄道、航空宇宙、ブルーエコノミーなどのハイテク分野での投資協力の機会が増えるとみられています。

中国は既に深くバングラデシュに入り込んでいるんですね。

 

まとめ:今後も中国のバングラデシュでの存在感は増していく

中国は、インドへ政治的に対抗するため、今後もバングラデシュへの経済支援、二国間関係の強化を進めていくでしょう。

日本や欧米が自国立て直しに一生懸命になっている横で、着々とワクチン外交を進めている中国に対して単純に驚いています。

ワクチンではなかなか難しいですが、私も保健衛生分野で微力ながらバングラデシュを支援できていければと思います。

-途上国滞在記