最大野党であるバングラデシュ民族主義党(BNP:ビーエヌピーと呼ぶ)のカレダ・ジア党首(75歳)がコロナに感染。肺の調子が良くないようです。
今日もニュース解説行ってみましょう!
カレダジア党首の容態要注意!
最大野党であるバングラデシュ民族主義党(BNP)のカレダ・ジア党首(75歳)がコロナに完成し、容体が良くないようです。
https://www.dhakatribune.com/bangladesh/2021/05/04/medical-board-to-review-khaleda-s-condition-tuesday
www.dhakatribune.com
この記事を無理やりまとめると、以下のとおりです。
①カレダジア党首は4月10日、グルシャンの自宅での陽性が判明。4月24日に2回目の検査を受け、再び陽性。4月27日にエバーケア病院に入院。
②呼吸の問題から、冠状動脈治療室に入り治療を受けている。
③近いうちに海外での治療も視野に入れている。
出典:Medical board to review Khaleda's condition Tuesday | Dhaka Tribune
写真(右)からも疲れた様子が見れますね。
カレダジア党首の動向がなぜ重要なのか。
BNPのカレダジア党首の健康動向がなぜ重要なのでしょうか。
これは野党BNPと与党AL(アワミリーグ)との関係を説明する必要があります。
バングラデシュの政治体制
まずバングラデシュの政治体制を整理しましょう。
バングラデシュは少数政党も多数存在しますが、おおむね2つの大きな政党が存在します。
それが現与党の「AL:アワミリーグ」と、最大野党である「BNP(バングラデシュ民族主義党)」です。
「アワミリーグ」「BNP」とも、その党首は「女性」です。
アワミリーグの党首は現首相であるシェイク・ハシナ首相。
出典:Prime Minister Sheikh Hasina reappoints her 5 advisers | Daily Star (thedailystar.net)
こちらはBNP党首は元首相であるカレダ・ジア党首です。
出典:Govt pushing Khaleda Zia towards tragic consequence: BNP | Daily Star (thedailystar.net)
イスラム社会を考えると、2つの政党の代表が女性なのは興味深いです。
このお二人は、バングラデシュ建国の立役者との血縁関係にあります。
●「アワミ・リーグ」のシェイク・ハシナ首相は、「建国の父」と言われるムジブル・ラーマン氏の娘
●「BNP」のカレダ・ジア党首は、ムジブル氏と並ぶ権力を握ったBNP創設者ジアウル・ラーマン氏の妻
という立場です。
父と夫、共々暗殺されましたが、その後権力を引き継いでいる状態です。
他国でも同じような状況は見られます。
たとえば隣国インドでも初代ネルー首相の娘であるインディラ・ガンジーが首相になりました。
その息子ラジブ・ガンジーも首相、ラジブ氏の妻であるソニアがイタリア生まれであるにも関わらず政党「インド国民会議」の代表についています。
そう考えると、このような人選はイスラム社会の慣習と言うより、南アジア特有の慣習のように想像できます。
私自身も、イスラムというよりも、「どれだけ権力に近いかを重視する」「血縁関係を重視する」というのは、南アジア特有の感覚かと思います。
現在外交政策に関して「アワミリーグ」は中道左派で親インド的、「BNP」は民族的右派で親アメリカ的と言われています。
実際アワミリーグは、この2月にインドから英社アストラゼネカのワクチンを輸入したりと、インドとの関係は良いようですね。
政治の流れが変わったのは2014年の総選挙
民衆の支持も、総選挙ごと左右に振れ、そのたびに政策の見直しがあるためなかなか継続的な国家運営が実現されていませんでした。
教育水準の高い家庭では、どちらかと言うと支持政党が存在しなく「できれば第三極が・・」と考えている方も多いのも事実のようです。
状況が変わったのは、2014年に行われた総選挙でした。
公平さが確保できないとしてBNPは選挙をボイコット。この戦略が裏目に出て、与党が結果圧勝。
その後の2018年の総選挙も、野党連合を結成してアワミ連盟に挑んだものの、獲得議席は300議席中一桁!に終わる大敗北を喫しました。
出典:Deaths Mar Bangladesh Election; Turnout Appears Thin | Voice of America - English (voanews.com)
出典:Bangladesh elections 2018: What you need to know | Elections News | Al Jazeera
こちらは、2018年選挙の様子。
これまで2期連続して一つの政党が政権を取ったことはバングラデシュでは初めてのことです。
政治が安定するのは、経済成長するのには基本的なことです。現在7%の経済成長が10年近く続いているのも、政治の安定が一役買っているのは明らかでしょう。
今後はどうなる?
現在国政の300議席のうち1桁しかとってないBNPですが、いまだに「最大野党」であることは変わりません。
かなり脆弱にはなりましたが、全国へのネットワーク、地方選挙等にも影響力は大きいです。
今後カレダジア党首の体調によっては、またBNP内での権力闘争にもなりかねないので、注意が必要です。
カレダジア党首に何かあると、今後担ぎ出されるのは、カレダジアさんの家族です。
カレダジア党首には2人男子がいますが、一人はなくなり、一人はロンドンで隠居生活なようなことをしています。
多くの罪に問われているため、バングラデシュに帰ってこられないのです。
そのため、息子にすんなり権力が移譲されるとは思えない状況です。
今後もBNPの政党運営、ひいてはこの国の治安状況にも影響する可能性がある、それがカレダジア党首の健康問題です。
今後も注視する必要アリです!