本記事の内容
- ①バングラデシュで今後成長する投資分野は何か?➾食品加工、医薬品、電化製品、金融サービス!
- ②バングラデシュが成長するための基盤➾コスト競争力、豊富な労働人口、国内市場の成長、比較的良いロケーション
- ③成長のための課題➾高度人材、輸送インフラ、コンプライアンス等々
本記事の信頼性
記事を書いてる私は国際協力歴17年です。現在国際協力機関で、途上国発展のためのお手伝いをしています。
読者さんへの前置きメッセージ
本記事では「バングラデシュの成長分野をしりたい」という方に向けて書いています。
この記事を通して、バングラデシュの成長のポテンシャルをイメージできるようになると思います。
もちろん、今回紹介する以外の産業でも多くの可能性を秘めているバングラデシュ。一つの参考として読んで頂ければありがたいです。
私自身、仕事を通してバングラデシュの経済成長を感じています。バングラデシュの成長ポテンシャルを共有できればうれしいです。
それでは、さっそく見ていきましょう。
①バングラデシュで今後成長する投資分野は何か?➾食品加工、医薬品、電化製品、金融サービス!
結論としては、食品加工、医薬品、電化製品、金融サービスの分野かと思います。
一つ一つ解説していきましょう。
食品加工分野
食品分野は今後伸びる分野の一つです。
市場規模としては、人口や、所得の増加によって、食品産業の市場規模が大きくなることが予想されます。
バングラデシュ国内でも食品全体の需要は年々高まっています。
所得が低い人の食事は、野菜中心、たんぱく質といったら、タマゴ程度です。
ただ、所得が高くなると食べる機会が増えるのが、肉、魚類です。
今後、このような所得が増えると食べる機会が増える食品=肉、魚、加工食品の需要が増えるでしょう。
また輸出分野においても、優位性があると思われます。エビ、魚はすでに一部輸出されていますし、マンゴー、バナナ等の南国フルーツなど生産することが可能です。
安い労働力も非常に魅力的です。食品加工もやりやすい状況です。
食品加工技術を向上させ、これまで輸入していた高付加価値の食品(チーズ、ジュース、ソーセージ等の肉加工製品等)を作ることができれば、国内市場の成長に合わせて輸入品代替として市場を獲得することができるでしょう。
Transcom: Tradition In Excellence
www.transcombd.com
Transcom Groupは、食品産業で最大かつ、最古という屈指の存在です。ビザハットや、KFCを国内で展開しています。
医薬品分野
バングラデシュは医薬品分野ですでに存在感を現しています。
今後途上国の医薬品市場において、後発(ジェネリック)医薬品の需要は爆発的に拡大します。
すでにバングラデシュの医薬品メーカーは、国内の医薬品需要のほとんどを賄っており、国内の需要増、また世界的なジェネリック医薬品の需要増にも対応できる生産能力を有していると思われます。
バングラデシュの医薬品分野は、すでに高い生産キャパを有していることや、製造コストにおいても優位性があると思われます。
LDCs(後発開発途上国)への優遇関税制度もあり、輸出量が拡大する可能性は多いにあります。
BEXIMCO - Taking Bangladesh to the World
www.beximco.com
Beximcoグループは縫製製品でも有名ですが、医薬品分野でも存在感のある企業ですね。
電化製品分野
バングラデシュでは所得の増加に伴い、家電製品、発電機等の需要が爆発的に増えています。
電気製品産業は、国内だけでなく世界的にも急速に成長している分野です。
国内主要メーカーであるWaltonなどによってさらに市場が成長すれば、国内市場だけでなく、海外へも輸出できるようになる可能性があります。
Walton Group| Best Electrical, Electronics & IT products manufacturer Company in Bangladesh
waltonbd.com
ただ、課題もあります。
この電化製品分野は、資本集約的(製造コストが人件費よりも製造機械などが高い)な分野であるため、人件費が低いという優位性を活かすのは難しいです。
そのため、中国、韓国など他の新興国の製造業と同等に競争できるようになるのはまだ少し先になるかもしれません。
金融サービス分野
銀行に代表される金融サービスは、中間層が成長するバングラデシュでも今後どんどん伸びていく分野だと思われます。
携帯電話、スマホが地方にまで行き渡り、多くの人がスマホを通して金融サービスにアクセスするようになります。
それに対応したサービスを提供することも大切で、かつ、同サービスを提供するための金融システムの構築が不可欠となります。
これは金融サービスだけでなく、国を挙げて進めている「デジタルバングラデシュ」に絡めて、ICT産業の育成ともリンクしてくると思われます。
最近は、Bkashなどスマホで決済が可能なサービスも出てきました。
https://www.bkash.com/
www.bkash.com
ITと金融が融合した「フィンテック」分野として成長が期待されます。
②バングラデシュが成長するための基盤
バングラデシュには成長するための基盤がすでに存在します。
それは、コスト競争力、豊富な労働人口、国内市場の成長、比較的良いロケーションです。
一つ一つ見ていきましょう。
コスト競争力
製造業における人件費は、中国の1割程度、ベトナムの3割程度と言われています。
労働集約的(人件費がコストの多くを占めるよう)な産業だと、その優位性が発揮されます。
すでに、労働集約的と言われている縫製産業は、すでに中国に次いで世界第2位の輸出大国になっていることからもお分かりかと思います。
ただ、世界2位というポジションのため、この縫製産業での爆発的な成長というのは伸びしろとしては少ないかもしれません。
豊富な労働人口
豊富な労働力、労働人口も経済成長では大切なポイントです。
バングラデシュの労働人口は6000万人以上、年間200万人近く労働人口が増えていくといわれています。
この豊富な労働人口が、安価な人件費、および国内市場の拡大に寄与しています。
国内市場の成長
先の豊富な労働人口とも関係しますが、バングラデシュの経済成長に伴い、中間層も増え続けています。
その中間層が新たに消費者となることで国内市場が拡大されていきます。
労働人口が増加→国内市場の成長→所得の増加という、いい循環が生まれています。
比較的良いロケーション
インドや、中国とも比較的近く、かつEUへの輸出も可能というロケーション。
また東南アジアへもアクセスできることから、先進国だけでなく、経済成長している東南アジアの成長も取り込むことが可能です。
③バングラデシュ成長のための課題
ここまで読んで「バングラデシュはこれからも成長するポテンシャルあるんだなー」と思っていただければ嬉しいです。
でも課題もあります。それは、高度人材、輸送インフラ、コンプライアンスです。
一つ一つ見ていきましょう。
マネジメント層などの高度人材の獲得
この拡大する市場で問題なのは、高度人材をいかに育成していくかがカギになってきます。
実際単純作業をこなすワーカーの方々は非常に多いのですが、それを管理する管理職人材は非常に不足しています。
自分だけでなく目標にコミットし、組織を動かすという高度マネジメント人材を探すのはどの国でも容易ではありません。
輸送インフラの整備
最近は道路や橋が整備されつつあるが、まだまだ課題は多いです。
チッタゴンの港も開発中で、今後は大型船が入港することが可能となる予定です。
そうなれば、国内輸送、海外への輸送も低コストで行うことができればますます競争力が高まるでしょう。
コンプライアンス順守
制度がまだ整っていないのが海外の企業が投資に及び腰になる一つの原因のようです。
「規制を作り、きちんとそれを守り、品質を維持する」という企業として当たり前のことをきちんとこなすことが大切です。
まとめ:バングラデシュは経済成長中!特に食品加工、医薬品、電化製品、金融サービス!
記事のポイントをまとめます。
- バングラデシュで今後成長する分野は、豊富な食品加工、医薬品、電化製品、金融サービス分野!
- 国内産業も成長が期待される分野で、かつ輸出においても競争力のある分野が今後伸びる!
- バングラデシュが成長するための基盤は、コスト競争力、豊富な労働人口、国内市場の成長、比較的良いロケーション
- 成長のための課題は高度人材の獲得、輸送インフラの整備、コンプライアンス順守が必要。
このようなイメージでしょうか。結論として、バングラデシュは経済成長中で、特に食品加工、医薬品、電化製品、金融サービスにはもっと可能性あり!ということですね。
バングラデシュの経済成長は目を見張るものがあります。今後もこの国の成長に注目しながら新しい情報を発信していきます。