本記事の内容
- ①国際協力のおすすめインターン先は4つ:国際機関、政府系、NGO/NPO、民間企業(開発コンサルタント等)
- ②Partnerを中心にしたポータルサイトで、効率よく探しましょう。
- ③国際協力は就「社」ではなく、就「職」の視点が大切。
本記事の信頼性
記事を書いている私は、プロとして政府系援助機関で仕事をして4年、アマ時代も含めると17年国際協力に携わっています。
NGO理事として5年活動していたこともあり、学生時代国際NGOでインターンとして活動した経験もあります。
読者さんへの前置きメッセージ
本記事では「国際協力に興味があるけど、どんなキャリアがあるのか具体的なイメージができない」という方に向けて書いています。
この記事を通して、国際協力のキャリアを形成するにあたって、具体的なイメージできるようになると思います。
国際協力業界は幅広いので、この記事で全体像をみつつ、どのような分野で自分が活躍したいかイメージしながらキャリアを作っていただけばと思います。
それでは、さっそく見ていきましょう。
①国際協力のおすすめインターン先は4つ:「国際機関」「政府系機関」「NGO・NPO」「開発コンサルタント」
国際協力のインターンは、大きく分けて4つ、「国際機関」「政府系機関」「NGO・NPO」「民間企業(開発コンサルタント等)」です。
それぞれの仕事を簡単に仕事を見ていきましょう。
国際機関
国際機関とは、グローバルな課題を解決するために作られた組織です。その代表例は国連で、国連を中心として様々な組織が存在します。
有名なのは、国連児童基金(UNICEF)、世界銀行(World Bank)、国連開発計画(UNDP)、国連難民高等弁務官(UNHCR)などです。
このような機関で構成した全体を「国連システム」と呼びます。国連システムの機関はともに文化、科学、社会のあらゆる分野で活動に取り組んでいます。以下HPに国連の組織一覧があるので参考になさってください。
国連広報センター:国連基金および計画、調査訓練機関、その他の機関 | (unic.or.jp)
政府系機関
国際協力に関わる日本の政府系機関としては、担当省庁である外務省や、ODA実施機関である国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)などがあげられます。
これらの機関では公的資金を使い、政府開発援助(ODA)を通して、環境問題、平和構築、経済発展支援といった途上国の開発を目的として、技術協力、資金協力(無償・有償等)を行っています。
以下代表的な組織のリンクを張っておきますので参考にしてください。
外務省:(キッズ外務省)外務省ってどんなところ?|外務省 (mofa.go.jp)
JBIC:組織概要|国際協力銀行 新卒採用情報サイト (jbic.go.jp)
NGO/NPO
政府、つまり税金が資金源である国際機関、政府系機関以外に、国際協力を行うための組織、NGO(Non-Governmental Organization: 非政府組織)やNPO(Non-Non-Profit Organization:非営利団体)があります。
国境なき医師団、ワールドビジョン、セーブ・ザ・チルドレン等があります。
それぞれの団体が理念を掲げ、プロジェクトや活動範囲が異なる点が特徴があります。
通常の企業と同じように、総務、会計、広報、プロジェクトの企画立案や、資金調達をしています。
営利を追求する企業の中でも、CRS(Corporate Social Responsibility: 企業の社会的責任)として、国際協力を自ら行ったり、資金を国際協力団体へ提供する企業が存在します。企業のCSRによる国際協力は、自企業の資金で基金を作り、NGOと連携している事例が多い印象です。
国際協力NGOセンター(JANIC):企業×NGOの取り組み
国際協力NGOセンター(JANIC):よくあるご質問 | 国際協力NGOセンター JANIC
ワールド・ビジョン・ジャパン:途上国の子どもたちの1対1の支援プログラム
開発コンサルタント
国際協力関係の仕事に取り組む企業と開発コンサルタントについて説明します。国際協力は政府系機関のみならず、民間企業でも取り組まれるようになっています。社会問題をビジネスで解決するソーシャルビジネスを掲げている企業もあります。
開発コンサルタントは、政府機関が途上国で仕事を行う際に、必要な専門的な知識やスキルを現場で提供します。規模や内容も幅広いため、高い技術力と深い専門性が求められます。政府系機関の場合は企画立案やプロジェクト運営が主な業務ですが、その調査を実際に現地で行ったり、プロジェクトを現場で実施したりというのは開発コンサルタントの仕事になります。
(一社)海外コンサルタンツ協会:開発コンサルタントとは
②インターンはPartnerなどのポータルサイトで効率よく探しましょう
業界の全体像が見えたら、インターンを探していきましょう!もちろん、気になる組織があったら、その組織のHPとにらめっこしてインターン情報を待つのもいいでしょう。
だた、ここでは、インターンを効率よく探せるサイトをご紹介していきたいと思います。
Partner(パートナー)
独立行政法人国際協力機構(JICA)が管理・運営しているサイトです。
PARTNER | 国際キャリア総合情報サイト (jica.go.jp)
[blogcard url="https://partner.jica.go.jp/RecruitSearchForPrsn"]
「PARTNER」は、「オールジャパンの国際協力活動促進」という理念のもと、国際協力に関わる全ての方々のために、JICAの情報のみならず、国際機関、開発コンサルティング企業、国際協力NGO/NPO、国際協力関連機関、政府機関・地方自治体、大学、民間企業など、幅広い実施主体の国際協力関連情報を、一元的に発信しています。
基本的には求人情報を載せるのみで、転職サイトのようにエージェントが間に入ってのマッチングは行いませんが、それでも有益な情報が盛りだくさんです。基本的にインターンは無給です。場合によっては交通費が支給される場合があります。期間は数週間から数か月まで様々です。
働き方でも検索できるので、短期で選んでまずは経験してみてよいのではと思いますよ!
JICAも年二回インターンを募集しています。国内および海外拠点で、職員の実際の仕事ぶりを肌で感じることができます。JICAインターンもPartnerを通して応募可能です。
以下「国際協力キャリアパスガイド」というページが秀逸で、いろいろなパターンわけでキャリアが分析されています。
初めての方へ | PARTNER | 国際キャリア総合情報サイト (jica.go.jp)
外務省 国際機関人事センター
外務省の国際機関人事センターでは、国際機関のインターン情報を掲載しています。インターンは大学院生、無給が基本ですが、一部の国際機関では少額の日当が支払われる場合もあります。
外務省:国際機関におけるインターンシップ,国連ボランティア等 | 外務省 国際機関人事センター (mofa-irc.go.jp)
以下のような国際機関の情報が掲載されています。
国連事務局(UN)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連児童基金(UNICEF)、国際原子力機関(IAEA)、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(UN-WOMEN)、世界保健機関(WHO)、国際移住機関(IOM)、国際農業開発基金(IFAD)、経済協力開発機構(OECD)
海外で、無給でインターン、なかなかハードですよね。でもなぜやる価値があるのでしょうか。
将来、国連をはじめとする国際機関で勤務しようと思う方は、にとって、インターンとして国際機関内で働くことは、実際の業務の現場や組織文化を知るためには非常に有効な方法だからです。
業務内容と身につけるべき能力についての具体像が把握できるはずです。また、インターン時代に上司に自分の仕事ぶりを評価してもらうことができれば、将来、正規職員として応募する場合に、当該上司が履歴書に推薦文を書いてくれる可能性もあり得るでしょうし、何よりも国際機関内に自分のことを知ってくれている人が複数いるというのは、強いアドバンテージとなるでしょう。これらがインターンをする効用であると言えましょう。
でも、やっぱりインターンの効用は分かっていても無給で働くのはなかなか学生にとっては苦しいところかもしれません。しかし、文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」では、留学だけでなく海外の国際機関本部や事務所でインターンを行う場合も奨学金の対象となる可能性があるそうです!
国際機関でインターンをしようとお考えの学部生・院生の皆さんは是非、検討してみてはどうでしょうか。
トビタテ!留学JAPAN」日本代表プロジェクト
activo(アクティボ)
activoは、国内最大級のNPO・社会的企業のボランティア・職員/バイトの情報サイトです。「何か力になりたい人」と「力を必要としている非営利組織」が出逢い、最終的には助けを必要としている人々に確実に支援を届けるための仕組みを創っていきたいと考えています。
ボランティア募集情報満載! | activo(アクティボ)
続きを読む
activoでは、小学生からシニアの方々まで、様々な世代の方々が参加できる社会貢献活動の募集情報が掲載されています。社会問題やテーマも幅広く取り扱っています。また、ボランティアだけでなく、NPOや社会的企業におけるアルバイトや職員の募集情報も数多く掲載されていますので、こちらでいろいろ検索してみてイメージを固めてみるのもいいでしょう。
マイナビなど就職ポータルサイト
最後は、就職ポータルサイトが提供するインターン情報ですね。
実は件数が少ないのが難点ですね。「国際協力」「開発コンサルタント」等で検索してみるとヒットします。
是非、実際にインターンにトライし、興味のある世界を覗いてみましょう!
③国際協力は就「社」ではなく、就「職」の視点が大切
ここまで読んで、「国際協力のいろいろあって、インターンもいろいろ探し方があるんだなー。興味がわいてきた!」と思った方は素晴らしいです。
大切なことは、所属することでなく、自分の興味と現実のすり合わせが大切で、その場としてインターンは最適だと思います。
あくまで国際協力で重要なのは必要な支援を必要なひとに届けること。そのためには、専門知識、多様なスキルや知見を持った人材が必要です。「国際協力」はある種、器のような存在で、多くの専門知識を持ったプロ集団で成り立っています。どのような専門性で、どのようなキャリアを歩むのか、インターンをすることでその現場や組織文化をしるには絶好の機会となります。
私の周りでも、インターンを経験し、その後その組織に所属しているという人がたくさんいます。むしろ組織側も、インターンのスキルや能力がわかっているので採用しやすいですし、インターン側も組織文化がわかっているので、win-winの関係になりますね。
就「社」ではない、まさに就「職」という視点が、特にこの国際協力の分野では必要になります。その視点でご自分の興味のある分野に飛び込んでいただければと思います。
まとめ:国際協力のインターン先としては4つ、探し方も4つ。でも就「職」、キャリアを自分で作っていく姿勢が大切
記事のポイントをまとめます。
- 国際協力のインターン先は大きく4つ:「国際機関」「政府系機関」「NGO・NPO」「開発コンサルタント」
- インターンの探し方は、Partnerなどの情報サイトを活用して効率よくインターン情報を探しましょう。
- インターンをやってみて、自分の興味と実際のリアルのすり合わせをしキャリアの方向性をイメージしましょう。
- でも国際協力は就「社」ではなく、就「職」の視点が大切。
- 日々の業務と併せて自らの専門性を高め、自らキャリアを作っていく姿勢が必要。
このようなイメージでしょうか。結論として、4つのインターン先を意識しつつ、自分の興味があることトライしていきましょう、ということですね。
インターンの経験は人生を豊かにするコミュニケーション力が身につきます。それは将来仕事を進めるうえでも非常に重要なスキルです。現代を生き抜くうえでは必要な投資だと思いますので、ぜひトライしてみてください!